久しぶりに再会「続いてきた理由」でございます。
諸々あって、この間福井に単身帰省してまいりました。冠婚葬祭以外かつ家族抜きで福井入りしたのは…一回くらいはあったかな。思い出せない。
さて。大人の休日倶楽部会員限定のお得な「北陸フリーきっぷ」を手に、何年振りかわからない福井駅に降り立ちましたら、以前勝木書店前にあった福井鉄道(私鉄)の駅が西口出てすぐの場所にあるじゃありませんか!何これ新しくてキレイ!しかも電車が、
FUKURAMですってよ奥様!いつのまにトラム型に!
こ・れ・は!カワ(・∀・)イイ!!
対面の丸っこい座席、ディズニーのより広々してて快適。いやホントに。一気に目覚める私の中の乗り鉄成分、これはテンション上がる。
今回の最初の目的地は「福井県立歴史博物館」。可愛いFUKURAMに乗ってほんの十数分で着いた田原町駅もこれ。
木造のすっきりとしたデザイン、シンプルでオシャレ。
しかし本当をいうと歴博に行くにはバスの方が近いし安い。福鉄のあまりの変わりっぷりについ乗ってしまったが、田原町駅からはフェニックス通りをてくてく歩いて十五分ほどかかる。バスだと隣接する公園前に停車するのでもっと楽に行ける、多分。
ちなみにこの辺りは明道館中学、北陸高校、福井大学、仁愛女子大など立ち並ぶ文教地区である。ともあれ幾久公園に入る。
テニスコートなどを横目に見つつどんどん奥に進むと、これまた新しくてキレイな建物。
実を言うと、福井歴博初の訪問でございます。
「
幕末明治福井150年博」の一環としてのこの企画。討幕派でも佐幕派でもない「公儀」を掲げた福井藩の動きを追った、とある。
この超気合の入ったポスターからもわかるように、物凄く充実した展示だった。NHKヒストリアの特集の影響もあってか、平日だというのに結構な人の数。皆さん一つ一つじっくりご覧になられていました。勿論私も。それにしても各地から集められた膨大な古文書の種類と数には驚いた。本当に眼福。筆書きって美しい、そして生々しい。安政の大獄で捕まった人たちの名前の上に、遠流だの死罪だの付箋が付いてるのにはちょっと冷える。
圧巻はやはり橋本佐内の啓発録。字が小さくて全部読み切れないが、これは本を買ってでも読むべき。15歳の恐るべき知性、未だに国内で学力上位を誇る福井県の底力の理由の一つが此処にある。超グローバル思考で怜悧冷徹、若くして刑に処されてしまったのも、発する言葉が、動きが、周囲に大きな影響力を与えずにおかなかった、その存在そのものに怖れをなしたものか。
歴博にこの「150年博」の冊子が置いてあるんだけれども、これまたとんでもない大掛かりな企画で、福井県の全文化施設をあげて多岐にわたる特集を組んでいる。私は幕末の辺りはぶっちゃけあまり興味が無かったのだが、
・松平文庫「士族」 福井文書館
・夏目漱石自筆のはがき(芳賀矢一宛) 福井県立こども歴史文化館
・御用諸向留(加藤河内家):太政官札製作に尽力 武生公会堂記念館
・水戸天狗党 兜のくわ形 能楽の里 文化交流会館
・駕籠(現存する唯一の将軍用男駕籠) 福井県立若狭歴史博物館
…書ききれない。
全部つぶさに見て回るとなると少なくとも一か月は必要かと。ああああ、何も無ければ行脚したい。どなたか、全館コンプリートブログなど書いておられぬものでしょうか。
ちなみに歴博には常設展もあり、こちらも中々です。
昭和のくらしエリアは撮影可なのも嬉しい。
こういうのを見ると、やたら断捨離と言って今必要でないもの全部捨てちゃうのもどうなの?て思ってしまう。ずっとずっと未来、自分がこの世からいなくなった後も、特に意味なく取って置いた物がこうして誰かの目を楽しませることが出来るかもしれない、って何か良くない?(勿論多すぎる物で子孫を困らせるのはダメだけど)。
個人的なお気に入りは、各地のお弁当の包みや割りばしの袋をキレイに貼りつけて、日付・天気・場所・お弁当の内容と味まで詳しく書きつけてるノート。これ完全にブログですよな(笑)。日本は世界一ブロガーが多いと聞きますが、やっぱり好きなんだよねこうして記録することが。
あと忘れちゃいけないオープン収蔵庫。これすごく見ごたえがあります。うっかり見過ごしてしまいそうな場所と「え、ここ入っていいの?」という雰囲気に尻込みしますがそこはガンガン行きましょう。福井市の昔を知る人には懐かしい「だるまや」の遺物がわんさか見れます。独特の、やや禍々しい感じがまたたまりません。
約一時間半、見て回ったら疲れたので休憩。
歴博茶房「ときめぐる、カフェー。」
焼きたてですよーと勧められたサクサクのコロッケパンとブルーベリーパン。コーヒーともども美味しうございました。
名残惜しくも歴博を出て、再度福鉄に乗るべく田原町駅へ向かったが、同じ道(フェニックス通り)を通るのは何だかなと思い脇道に入ったのが運の尽き。はい迷った!しかし明道館中学の、遠くからでも超目立つ校舎のお蔭で、十分ほど遠回りした程度で元の道に戻ることが出来ました。急行に乗り遅れて20分待つはめになりましたが(^_^;)まあそれもまた良きかな。
帰りの福鉄、越前武生まで約一時間の旅。垢ぬけたトラムもいいけどやっぱりコレよね。帰宅時間だったので乗客は多め、学生や勤め人。
暮れ行く車窓、一日の終わり
思い出しますねえ。高校時代、授業が終わってすぐ飛び乗って映画を観に行ったっけ。忘れもしない「2001年宇宙の旅」。あれは凄かったなあ。
越前武生駅に着いた頃にはとっぷりと日も暮れ、さてどうするか。タクシーでさっと帰るのもいいけど、ここはあえて路線バスで。
高校以来久しぶりのバスは五時半出発、乗客は私一人。若干コースに変化はあるものの、窓から見える風景はあの頃と同じ。というか夜なのでよく見えないだけなのだが(笑)そうそう、このくらい暗かった。
あまりに和み過ぎて写真撮るのも忘れた。というより、カメラを構える時間が何か勿体ない気がして、ただひたすらにぼーっとしてしまった。
結局終点の「和紙の里」まで貸し切り状態のバス。降りたところで入れ違いに高校生っぽい女子が一人乗っていった。うん、ちゃんと生きて続いてるこの路線。今後も頑張ってくださいまし。
そこから小学校時代の通学路をてくてく、実家に着いたのは6時過ぎ。福井駅に降り立ってから約五時間、色々と実り多く楽しいプチ一人旅でした。
【参考文献】
特別版・幕末維新の激動と福井 福井県立歴史博物館
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