大ふすま展 一2019/09/09 13:08

さて、ついに始まりました「大ふすま展」。
母の夏休み~♪とばかりに
行ってまいりました!
9/6(金)、案外混んでいた北陸新幹線、いつも混んでる金沢で乗り換え、サンダーバードで武生下車。折しもフェーン現象による猛暑の越前和紙の里。
卯立の工芸館
東大襖クラブの張替実演の会場、卯立の工芸館です。
いつもは紙漉き実演などしている所のせいか、空調のおかげばかりではない涼やかさ。紙と木の匂いがします。
この時は午後、メンバーはお昼休憩中でした。広い和室に置かれた張替のお道具たち。

午前中は外国人のお客様が大勢みえて、英語で襖のご説明などしたそうです。さすが!
午後の部の準備をする部員さんたち。
「襖クラブの特徴として、基本持ち帰りはせず、依頼されたお宅にお邪魔して、そこで全部作業します。なので押し入れがあけっぱなしのまま数日…ということはありません」「ごく普通の、食卓用テーブルがあればそこで作業できます」などなど、集まったギャラリーに向け熱く語る。
それなりに人が増えてきたので、母と私はひとまず和紙の文化博物館へGO。
まずは一階奥、一歩入ればそこは…
襖、襖また襖、
襖だらけ。
これだけたくさんの襖が一堂に会する場は、なかなかないですよ奥さん。
木を組み立て、畳を敷いてつくる和の空間。
ただ仕切ってあるだけなのに、何故か落ち着くのはどうしてだろう?
シンプルでやさしい色と柄も
大胆な墨流し柄も
シックな色と柄も
みんなちがってみんないい、襖の世界。
榮子さんの力作、超巨大絞りを再度堪能しつつ、やや後ろ髪を引かれながら
二階の展示室へ。お目当てはやはり榮子さんのこの大作!
数十年前につくった藤の花、再度チャレンジし見事に完成させた83歳。貼り付けるのではなく、描くのでもない、紙漉き独特の手法のみを用いてつくる美術工芸。この微妙な色づかい、多くの方に観て貰いたい!

ここもまた襖の世界。
大胆な構図と色づかい、これも日本の粋。
昔と今がまじりあう中、
長田製紙所が展示したのは古典柄、
絞りと。
山と。
雲と。
墨流し。
襖というのは、毎日暮らす家の中にあるものだから、その存在を実感することが殆どないのだけれど。
この定型の枠に括られた中には、間違いなく別の世界が在る。日本古来の美意識に充たされた世界。

二につづきます。

マンションのダン襖を本襖に替えますプロジェクト!2019/07/11 19:06

ご無沙汰しております、「かわかみひめblog」管理人のおさ子です。
突然ですが、上記タイトルのようなことをGW前から目論んでおりまして、現在鋭意進行中でございます。

場所は埼玉県のとある古いマンションの一室。
おそらく2011年初め頃リフォームしています。
和室の襖はいわゆるダンボール襖というやつで、上から新しい紙を貼ったっぽい。引き渡し当時はとても綺麗でしたが、8年後の現在この通り……ちなみに、ガス火等は使っていない・つまり料理的なことは殆どしていない部屋でございます。それでもこれ。
一階なので湿気やすいのもあるかと思いますが、うーん……ですね。よくあるアイロン圧着とかそういうものでしょうかね。しかもこれ下の部分の枠が割れて外れちゃってます。かなり幅広の襖なので、案外重いのですよね…。
で、これもマンションにありがちなのですが、和室の襖は押入れ収納および出入り口を兼ねているので、表裏両方が見えます(わかるかな)。表裏ともにちゃんとした和紙を張りたいところです。

もうひとつ、洋間の板戸?的なものはこちら。お見苦しい部分はモザイクをかけております(笑)一見綺麗にみえますが、こちらも良く見ると色々と(自粛)

なお本宅の方の襖は本襖に入れ替え済で、こちらも2011年4月に張替えをしております。勿論、長田製紙所の襖紙ですよ。
こちらでは普通に料理もやり、焼き肉などもしておりますので、外的要因の染みなどは盛大についております(←)。が!内側からしみ出したような染みは一切、ございません。ベタ貼りではなくちゃんと骨組みの上に「張って」いるので当然ですね♪(自慢)

というわけで和紙はある。というか、用意できる。

表具屋さんをどこで探すか?
タ〇ンページか?
しかし今時、手漉きの強靭な鳥の子紙を張れる表具屋さんて、そんなにザラにいるのか?
本宅の方を手配してくださった会社はもう無くなってしまった。こうなれば一度地元埼玉で探してみるべきかも?

そういうわけでまず頼ったのが
このブログではお馴染み?!の
ならば、表具屋さんとのお付き合いも多いはず。
「ねえねえ埼玉で、本襖仕立てて手漉き和紙張ってくれる業者さん知らなーい?」
と、直球で聞いて見ましたらばあっという間に返信が。
「岩槻に、埼玉県表具内装組合の会員で、『現代の名工』に選ばれた方がいらっしゃるようです。きっと手漉き和紙の扱いも大丈夫じゃないでしょうか」
現代の名工』!といえば榮子さんもいただいたアレじゃないですか!これはもう御縁!さすがは東大襖クラブ、目の付け所が違うね!感謝です。
※2016年。榮子さんは前列右端↓
東京新聞埼玉版2018/11/13
この画像だけでもう、長田製紙所に漂う雰囲気と同じものを感じ取ったわたくし。早速「山下表具店」のメアドにメール出しました。
お電話来ました。

「手漉き和紙……ここ数年張ったことない。襖の注文も殆どないんだよねえ」

そ、そうですよね泣
しばし細りゆく業界の話題に花が咲き、とりあえずどのような感じか観に来ていただくお約束をやや強引に取り付ける。

6月
上旬:現地にてサイズ測定
中旬:見積受取り、発注
幅広両面2本、一本引き1本。和紙は別途。

で、7月頭。もう出来たとお知らせが!早!来週調整のため再度こちらにいらっしゃると。掃除しなきゃ!じゃなくて、
和紙は?和紙どうしたわし太夫!(最後でいいって仰ってたけどさ!)

続きます。

いろいろと御礼2017/11/15 21:39

イベント続きだったこの数日間、気が付くともう11月も後半。さすがに朝晩寒くなってきましたね。

まずは
Asian Home Furnishings Sale 2017@東京アメリカンクラブ売り場
当日はあいにくの雨模様にも関わらず沢山の方にお越しいただき、誠にありがとうございました!お蔭さまで大盛況のうちに終えることができました。今年は家具中心でなおかつ一日だけだったせいか?例年より外国人のお客様が多く、
あ、やっぱり英語必要じゃん
と実感したのでこれから頑張ろうと思います(←今頃?!)。
ちゃんと越前和紙の説明が出来るようにしないとね(←ってこれも今更?!)。
ほら来年9月には長田和也の個展もありますし、同じ東京アメリカンクラブのB1「フレデリック・ハリス・ギャラリー」で(宣伝)。

こちらのギャラリーでは月替わりで日本人作家によるアート作品が展示されているのですが、何とレセプションにわし太夫娘ともどもお招きいただきました(わし太夫は所用のため帰福)。
Takako Takeda & Satomi Kuze@Frederic Harris Gallery
ビスクドール作家の武田孝子さんと木の実とブリヨンフラワー作家の久世聖美さんの二人展(~11/27、11:00~21:00、最終日17:00まで。11/22のみ入館不可)
久世さんたちとの出会いはアメクラバザー。たまたまお店が近かったこともあって即席コラボ
久世さん作のボトル飾りをオーナメント代わりにつけた長田の白いツリー
をやってみたら見事二つまとめてお買い上げ♪と相成りました。
奇跡のエピソードにすっかり舞い上がった私たち、久世さんの
「ここのギャラリー、応募してみたら?長田さんならきっと大丈夫!」
という甘い囁きにうっかり乗ってしまい。まあ審査もあるしたぶん無理だよねーうんダメ元で!と申請してみたら何でか通ってしまい。二年先かーまだまだだなーなんて思っていたら、あっという間にえ?もう来年?になってしまい。私たちの心中を察してか、
「来年に少しでも役立つように♡」
と、ご多忙の中久世さん自らSaleにお越しいただいてのお誘い。
会員専用エントランス側
レセプション当日も、あまりにラグジュアリーな雰囲気↑に内心大汗&修羅場な私たちにさりげないお心遣い、まさに神対応を見せていただきました。本当にどこの女神さまでしょうか。
久世さんの挨拶
他のお客様たちもギャラリースタッフの方がたも、不慣れな私たちを快く受け入れてくださり興味深いお話を沢山聞くことができました。久世さん、武田さんをはじめ皆さまには感謝しかありません。ありがとうございました。来年に向け、わし太夫ともども頑張ろうと思います。

こちらもうかうかしていたらもう来週…
越前生漉奉書の人間国宝・岩野市兵衛さんが東大駒場祭に降臨!
主催はもちろん、東大生が襖張ります!でおなじみの「東大襖クラブ」。
東大襖クラブ駒場祭チラシ
わし太夫修行@都内時代の微かな縁の糸がふとしたきっかけで繋がり、九月には越前市大滝町で史上初の襖張替合宿を実現するに至り、ついには駒場東大へと道筋をつけました。岩野市兵衛さんはご高齢ということもあり講演等は控えていらしたのですが、地元で襖クラブ部員と交流された中で若者たちの並々ならぬ襖愛に意気を感じられ、今回特別にご承諾いただいた次第です。おそらく最初で最後のこの企画、どうぞお見逃しなく!若くて可愛いわし太夫娘も現地におりますよ!

さて、その岩野市兵衛さん降臨の影の立役者となったのが母「現代の名工」長田榮子さんである。市兵衛さんとは夫婦ぐるみでスープが冷めないどころかぐつぐつ煮立った状態で行き来可能というほどの距離感で(比喩です 笑)、コラボ製品を作ったり旅行に出かけたりと大変仲良くさせていただいているようです。
その榮子さん、長年真面目に紙を漉き成果を上げてきたことのご褒美として
黄綬褒章
をいただくことになりました。式典のため前日の11/13から東京都入り、迎えに来たわし太夫娘=孫と水入らずで東京の夜を満喫♪
翌朝、着付けを済ませいざ厚生労働省へ。そこはスーツ姿のビジネスマンたちが行きかう日本の中枢・霞が関のど真ん中。
霞が関・厚労省前
いやーこういう時はホントお着物イイ!私も着付けをやり直そう(決意)。
厚労省前の榮子さん
2Fの講堂にて日の丸を掲げたステージ前に総勢300名余の正装した男女、中々の壮観でした。「褒章伝達」(名前を読み上げる:受賞者は立ってお辞儀)、「物品伝達」(一人一人に厚労省職員三人がかりで賞状を授与)等々独特の言い回しも興味深い。
いただいた賞状(というのか?)、主語が「日本国天皇」というのがまず凄い。さらに「紙手漉工」と入ってる。ちゃんと業種を書き分けてるんですね。最後に極め付け「内閣総理大臣 安倍晋三」よ奥様!(興奮)。
帯の向かって右側に付けているのが黄綬褒章。小さいですが重量感あり、裏に「長田榮子」の名入りです。
黄綬褒章いただきましたby榮子さん
ここでわし太夫娘は帰宅、母と娘とでバス乗車しいざ皇居へ!バスから降りたら写真撮影一切禁止なのでバスの中でパチリ。う、映りが…あいにくの雨で暗かった…正面にかすかに門が見えるのわかるかな?
正面に門が!
車窓から。テンション上がるわー。榮子さんもニコニコ。
褒章伝達式は厚労省だけでなく、防衛省・金融庁・財務省・国土交通省等複数の省庁が同じ日にそれぞれ行っていたらしく、広場にはたくさんのバスがずらり。順番が来るまでバス内でしばし待機。この場所がどこかというと(↓ネットから拝借)
一般参賀の模様
ここなんですのよ奥様!
一般参賀でおなじみの皇族方がお出ましになられている窓、案外低いところにあるので驚きました。何もない状態で見ると手が届きそうな、すぐ目と鼻って感じ。そりゃ沢山人が行くわけだ。私も行っちゃおうかしら来年。
そんなこんなで結構長い時間バスで過ごしたあと、やっと中に。入口の広いロビーには大きな階段。通路に敷いてある浅黄色というのでしょうか、黄色みがかったベージュ?の絨毯はふっかふかなのに沈み方が優しくてとても歩きやすい。そして二階の長ーい廊下!そこから見える中庭!うわーもうこれ最初で最後よねきっと、とかみしめつつなるべくゆっくり歩く。
そして到着、春秋の間(↓宮内庁HPより)。
春秋の間:宮内庁HPより
既に沢山の人で埋まっていました。ここに陛下が…と思うとドキドキでしたが、私はしがない?付き添いなので御拝謁中は別室で待機。残念。

とはいえ実を言うと、長田家は今上陛下・皇后陛下のご訪問を賜ったことがあります。両陛下がまだ皇太子同妃両殿下であらせられた昭和55年、植樹祭のため福井県に数日滞在され、紙漉きの工場をいくつかご覧になられました。私の父は両殿下を先導し工場内をご案内。何と紙漉きも少しなされたようです。私たちは玄関先でお出迎えとお見送り。
当時中学生だった私、部活動顧問の先生に「家の用事で休みます」と言ったら何で!と詰め寄られたので
「なんかーウチに皇太子ご夫妻がいらっしゃるみたいでー」
とまるで親戚が来るようなノリで答えたところ、そこにいた全員が先輩も含め
それは大変!すぐ帰りなさい!
となったので、ちょっぴり気持ちよかったのでした(笑)。

それからもう四十年近い月日が流れ、その間母はずっと紙漉きの仕事を続けて本日の栄に至りました。母だけでなくその場にいた全員、同じく日々仕事に勤しみ一生懸命生きてきた人たちであり、それぞれに誇りと、長年周囲に支えられてきたことへの深い感謝の念をお持ちです。それが皇居という場の力、日本国の象徴である天皇陛下が纏われる光とも相まって、ぴんと張った清浄な空間ではあるけれどもどこか和やかな空気をつくり出していました。単なる付添いの私まで、細い細い何本もの糸が精緻に繋がって今ここにいるのだという実感が湧き、とにかくいろんなものに感謝したくなる、というかすべき!と思えてくる。褒めて育てるというやつ、私はあまり信用していなかったけど、全力で褒められるということはここまで強大なパワーを人に与えるのですね。だって天皇陛下にお褒めいただくということはつまり、日本国そのものに褒められるってことですもんね。私もおこぼれだけでもいただけて本当にラッキーでした。

ただでさえパワフルな榮子さんがさらに大きな何かを長田製紙所に持ち帰りました。一同、今まで支えていただいている皆様への感謝を力に変え、ますます精進してまいりますので、どうぞ今後とも応援よろしくお願い申し上げます!

日本で一番2017/09/23 22:31

なんだかんだですっかり九月も後半ですね、いかがお過ごしでしょうか。さて今回の記事は、アップするする詐欺の
「東大襖クラブ・襖張替え合宿」動画
を待つ間の繋ぎです。お茶請け程度にどうぞ♪
※記事は全て伝聞によるイメージです(私行ってないし´з`)

世界初の「襖張替え合宿」。いや合宿というよりはもはや出張ですね。60年の歴史を誇る東大襖クラブが、110年の歴史を持つ長田製紙所とひょんなことから繋がり、1500年の歴史を誇る越前和紙の里へと張替え出張。しかも来年に控えた大滝神社・岡太神社1300年大祭の準備の一環としてです。これは紙の神様に呼ばれちゃいましたね。もう毎年来るしかないですね(笑)。

さて四泊五日の宿泊は安楽寺、張替えについては長田家が一応お世話をする立場となりました。部長のS木くん・OBのHくんは既に何回か現地に来ているし、元添乗員の跡取り娘が世話人やるし、それほど枚数もないみたいだしうんラクショーじゃない?やだー暇すぎるかも…空いた時間どうしよ…などと心配していたら。

そ れ ど こ ろ で は な か っ た。


・・・・・・・・・
その日、長田家の人々は思い出した…長田製紙所は確かに襖紙の老舗ではあるが、襖紙張り替えに関してはド素人同然だということを。
…え、張替えって誰もやったことないの?!マジか!私も知らんし!…
「アンタ……何やってるんやってえええ!ちゃんとしときねのっ!」
母(現代の名工80歳)にガチで叱られた息子(長田製紙所社長57歳)。

というわけで襖クラブ最初の仕事は、マスキングテープ片手に印つけ……。これ、後からやると非常ーーーにめんどくさい。ミスの原因になるから絶対やろうね☆事前の現状記録!

のっけから技術の無駄使いをしながら二日目突入。しかしそこはやはり東大生、さすがの神段取りで着々と進み出す張替え作業。
「…長田さんちの分、あと障子もあるって仰ってましたよね?紙どこですか?」
・・・・・・・・・・

・・・はい??? 今なんつった???

まさかの「今から漉く」発言に茫然とする東大生をよそに、さっさと漉き始める熟練の和紙職人。※画像はイメージです
※いや、うちくらいだと思う(泣)
「アンタ、これこの障子!全部外しといたからこれでイメージ膨らましね!」
※「~しね!」は福井弁で「~しなさい!」の意
と母(現代の名工80歳)に煽られ、息子(長田製紙所社長57歳)が和紙職人気質を如何なく発揮し漉いた障子紙を襖クラブが張ってくれた完成品がこれ↓
とても素晴らしい仕上がりで、結果オーライ♪て感じですかね(オイ)

そんなこんなでバタバタしつつ日程をこなし、あっという間に合宿最後の夜と相成りました。記憶の家でのお別れ大宴会にはご近所の人間国宝・岩野市兵衛さんも加わって、いやがうえにも盛り上がる。※画像はイメージです





とこのように、日本で一番の大学に在籍する襖クラブの面々は、日本で一番襖と襖にまつわる色々を愛する学生さんたちでもありました。
その優秀な頭脳とあくなき探求心と情熱とで、これから日本の未来を切り開いていく東大襖クラブの若者たち!
襖と襖紙(特に越前和紙 笑)の未来も、何かのついででいいので(←)ちょこっと隅っこにのっけといてください。これからもどうぞよろしくお願いします♡