明日で一年 ― 2012/03/10 14:37
つけたままのテレビから鳴り続ける緊急地震速報。
夜中にまとめて届いたメール。
水と着替えと食べ物をつめ枕元に置いた、人数分の荷物。
服のまま眠る子供たち。
ガムテープで止めた戸棚。
外は異様なほど静かだった。
都内に勤務する夫は帰らず、
余震の度合いによっては、子供を連れて避難しなければならない。
揺れのため曲がって開かなくなる危険を考え、
玄関ドアはわずかに開けたままチェーンをかけた。
リビングのドアは閉めていて、暖房器具もつけていたが
どうしても外気が入り寒い。
寒い、と思うたび
いいようのない後ろめたさを感じた。
あたたかい家の中でこうして無事に居られる
それが当然のことだと
なんで今まで思っていたんだろう?
会ったこともない、顔も名前も知らない誰か、
誰かの父であり母であり、祖父母であり、子であり、孫であり、友人、隣人であり
つい数時間前まで
自分と同じように普通の日常を生きていた人たち
その存在をあの夜
たしかに私は感じていたのだと思う。
毎月11日、午後になると、ツイッターで黙祷の文字がつらなる。
2時46分は地震が来た時間、自分はその30分後、津波襲来の時間に黙祷すると決めている、という誰かのツイートも見た。
明日は特に、たくさんの声で埋まるのだろう。
「復興」は祈ることではなく、何か行動することだ。
復興において何の役にも立てない、無力で無能な私は
せめて喪われた存在のために祈ろうと思う。
あの夜の寒さを、後ろめたさを
忘れないでいようと思う。
【3月9日現在】
死亡者数 15,854人
行方不明者数 3,167人
(警察庁発表による)
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