夏の思い出2009/08/26 20:32

夏休みには、夫の生まれ故郷である愛媛県西条市を訪れる
夫の両親二人とお婆ちゃまの、通常は静かな一軒家に
五人が押しかけ、毎日プールだ何だと出かけていくわけである
(いつもすみませんすみませんすみません)

そのほかに、必ず訪問するお家がある
昔、仲人をしていただいたご夫婦のお宅である
西条市の隣、今治市桜井で漆器のお店を営んでおられる
毎年とても歓待していただくものだから、もう結婚してから十年以上経つというのに、今年もまた図々しく家族五人で乗り込んでしまった
(いつもすみませんすみませんすみません)
さまざまな漆器製品や、ガラス製のうつわなどが並ぶ店内でお茶とお菓子をいただきながらしばしお喋り
やや退屈ぎみの下二人、夫が海を見に行こうと外に連れ出した
そのとき、ふとご主人、

「ここの近くに神社があるでしょ? 昔はあそこで、金毘羅さんに向かって旅の無事を祈願して、船を出した。椀舟って言うてね、瀬戸内海から中国・九州、日本海にも出て、能登の方から職人さんを連れてきたらしいよ」

そんな話をして、おさかさんの住んでいた辺りには行ったかどうかわからないけど、と言いつつ「椀舟もなか」というお菓子を実家へのお土産にとくださった
(愛媛の後は福井に移動することになっていたため)
長女には、椀舟の絵の入った素敵な飾り皿

沈金や蒔絵といった技術は、この椀舟に乗ってもたらされたらしい
私の実家の近所にも漆器を作る地域はある
おそらく大陸からやってきた技術者集団が日本海周辺の地域に散り
瀬戸内海を中心とした商人たちの才覚で
技術、製品の流通がなされた

直接のかかわりはなくても
おそらくそういう流れのさなかにあったのは確実の
福井県出身の私が
さいたまに家を持ちながら
まさにその舟の出た場所で、その話を聞いている不思議

まだまだ世の中は
愉しい謎に満ちている



戸倉屋漆器店のHPはこちら(椀舟もなかも買えますよ♪小豆あんにほのかな梅味がついていて美味しいです)
http://www.tokuraya.jp/index.html

椀舟の歴史についてはこちら
http://www.i-bussan.jp/sakurai/rekishi/rekishi2.html