油団のこと2012/07/03 21:10

大雨災害に遭われた方へ、お見舞い申し上げます。雨は止んだようですがまだまだ警戒が必要かと思います。どうぞご自愛くださいませ。
早く梅雨が明けるといいなあ。
夏が近づくと、福井の実家にこの時期登場するのがこれ、「夏障子」と「油団」(ゆとん)。
わし太夫より「夏障子」参照のこと:
油団(ゆとん)についてはこちらに詳しい→「日本の手仕事」。
和紙を13~15枚貼りあわせ、たっぷりのエゴマ油を塗った敷物。と書くと簡単そうだが、実はものすごい職人技。日本中でもう一軒しか作っていない。使い込めば飴色になり、少々水をこぼしてもOK。元が紙なので、捨てるときは普通に燃えるゴミ(100年持つそうではありますが)。しかも油団の表面温度は、室温より2度もひくいそうだ。すごいぞ油団!

日本橋高島屋の和紙展に出された「油団」。
いっぽう長田家の、使い込まれた50年超えの油団。

埼玉で暮らし始めてもうすぐ20年経つ。集合住宅はそれなりに便利で快適ではあるものの、さすがに狭いので、夏障子入れ替えたり畳上げて干して油団ひいたりとかは難しい。つか出来ない・・・。なので今更ながら本当に羨ましい。夏が来た!て感じがするもんなあ。

梅雨が明け日差しが強くなる頃、まるめて保存されていた油団が登場。
8畳用の油団はこんな大きさ。デカー!
子供の頃、
夏は一番風通しのいい仏間と客間の襖を開け放ち、蚊帳をつってきょうだい三人で寝ていた。今と違い夜はかなり涼しかったものだが、それでもたまにあった熱帯夜。寝苦しい中、うとうとしつつも熱い手足がすこしでも冷たい場所を探す。
なぜか油団は熱くならず、いつでもさらりとひんやり。落ち着く先はいつもここ。
朝方には冷えすぎて、布団に戻る(戻らされる)ことになるのだが。

使う和紙は高品質でなければならないし、手間も時間も相当かかるので、昔から高級品ではあったらしいが、この素晴らしい敷物が消えてしまうのは本当にもったいないしやるせない。これもまた日本の誇る技術の一つだと思う。私も買えるものなら買いたい、ホントに。これを敷いてある旅館がもしあったら、行くよ。

襖にしても同じなのだが、少々面倒くさくて手間のいる、だがうまく使えば長くもつ、捨てるときには潔く捨てられる(普通に燃やせる)。そういうものを今こそ、大事に守り保存するべきなのではないか?
安くてもすぐ壊れるものをどんどん買っては捨てていくより、いいものを長く大事につかう。

それが本来の日本人の姿ではないんだろうか。

自然災害の多い国土であるからこそ、温故知新で。今はいろいろと生活を見つめなおす格好のチャンスなのではないか、と思う。

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