マンションのダン襖を本襖に替えますプロジェクト! その22019/08/01 16:24

諸事情で随分間が空いてしまいました。主にこちらのせいです。というかまだ肝心の襖紙が1ミリもできておりません。なのに山下表具店の塚田さん、
「全然大丈夫ですよ!いつでも!」
と仰っていただいてもうホントにすみませんすみません。
で。
こちらがお持ちいただいた、襖紙を張る前の骨組みに下張りの紙を貼ったもの。三重になってます。
これね奥さん、よーく見てくださいよ。文字みたいなのが見えませんか?
昔ながらの襖紙にありがちな、古い証文やら反古紙、つまり古文書ですよ古文書!それ自体もちろん和紙(丈夫で上等)。その上に貼ってあるのも手漉きの細川和紙。これがまた手触りがいいのなんのって。うわーーーーと騒ぐ私に塚田さん平然と、
「そりゃ手漉きの越前和紙張るんだからこのくらいしなきゃ」
と。
これぞ熟練職人さんの本気仕事…!

わし太夫、頑張れ超頑張れ(丸投げ)

こちらが御道具。使い込まれたカンナが素敵。複数のカンナを使い分け、コンコン叩いて刃の調整をしながらの作業。
狭いマンションの部屋でもこの通り。くるんくるんと小気味よく引きまわして、しゃーっと軽やかにカンナをかけてらっしゃいました。襖というのはそれほどに軽いのです。
洋間の襖。上があいているのは枠の分。柱の凸凹に合わせてなるべく隙間のないように削ります。
横でゴチャゴチャと話しかけまくり写真撮りまくりのウザイ私を物ともせず、さくさく作業を進める塚田さん。
普通サイズ一枚、幅広二枚の襖を合わせて削って一時間半。あとは襖紙を張って完成、の状態でまたお持ち帰り。手間がかかるといえばかかる。だけど説明を聞きながら見ていると、その手のかかる作業がとても理に適ったものとわかる。

木というものは時間が経つと状態が変わります。一軒家でもマンションでも同じ、打ち込んである柱は少しずつ沈む、表面も平らではなくなる。(「ねじれる」という言い方をしてらっしゃいました)それは単に輸入木材(質や切り方の良し悪しはさておいて)だからというだけではなく、日本の木を使っていても、年数がたてば多かれ少なかれ作った当時の状態からはどうしても変わってしまう。
本襖というものは、そういう木の特性を鑑みつつ、今の住まいの状態に合わせて微調整することができる非常によく出来た表具なのです。
今回の作業の間に外したダン襖の切り口、初めて見たのですが本当に段ボールなんですね。たたんだ段ボールを重ねてぎゅっと潰した感じ。これじゃ確かに一旦反ってしまうともうどうにもならない。そして案外重い。そのまま使っていると色んな所に引っかかって枠などの劣化がすすむ。また同じダン襖に取り換えれば、もちろん値段は格段に安いでしょう。だけどこんな丁寧な微調整は出来ないよ。

日本家屋のために作られた表具である本襖、和室の激減によって今まさに消えていこうとしているけれど、引き戸はスペースを有効活用出来るし、板戸やサッシ戸より遙かに軽くて使いやすい。デザイン面でも、色や柄を選べばフローリングの洋間でも遜色はない。何よりそこで暮らす人と一緒に年を経て変化してきた住まいを、もう一度よく見てより使いやすく丁寧に手を入れる、そういう機会として捉えてみてはどうだろう。

次回はいよいよ襖紙!わし太夫よろしく!
<まだつづく!>

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