末広がるご縁2012/12/10 16:49

お寒うございます。世の中は選挙だクリスマスだミサイルだと喧しいですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。ノロウイルス胃腸炎大流行中、インフルエンザも要注意な季節、どうぞご自愛くださいませ。

さて、そんな世事の憂さを吹き飛ばす師走特別企画をお送りいたします。
 eicoさんの「突撃!京都の扇子職人★」※タイトルと多少違いますが気にしないで下さい
(元ネタ:わし太夫「EICO WIND 扇子」参照のこと)。

それは遡ること数ヶ月。そもそもはアメリカンクラブのバザーに何を出すか、について話していたときのこと。折しもうちわ製作の真っ最中、eicoさんは突然
「越前和紙で扇子を作りたい!」
という一念にとりつかれる。

扇子というのはご存じの通り、日本古来の伝統工芸品。当然紙にも骨にも、長年培った職人の技とノウハウが込められている。いくら越前和紙が同じく伝統工芸で、素晴らしい材料と工法により作られている、からといって、やすやすと入り込める世界ではない。

なのに齢70を超えるeicoさん、やってのけました。見よ、この勇姿を。
ネットもメールもほとんど使えないeicoさん、私が適当に検索した扇子店のリストを握りしめ、いざ京都へ。がしかし、大きな店では紙を作る工房ももれなくお抱えで、会社としても、客としても横入りする隙間はほぼ無いに等しいのだった。まあ、当然だろう。

だがここで諦めないのがeicoさんのeicoさんたる所以である。偶然見つけた、夫婦ふたりだけで製造・販売をしている小さな店。しかしそこでも、親父さん(ガチの職人)は首をかしげる。

「良い紙なのはわかるけど、厚いし硬いし、扇にはちょっと無理かも・・・」。

「いいの!私自分で作るから!どうしてもこの紙で作りたいの!」

eicoさん、半ば無理やり骨だけ買い取り、数日かけて扇子づくりにトライ。試作品を手に単身京都に舞い戻った。長年紙漉きに携わり、生来器用なeicoさんだが、扇子に関してはど素人。実際見てはいないが、おそらく本職の方から見たら(うわあ…)というようなものであったに違いない。違いないが、使っているのは普通の和紙ではないし、だいたい普通のど素人は本当にこうやって作って持ってきたりはしないだろう。

【親父さんの心の声:推測】※京都弁がわからないので江戸っ子風味にしてみました
(うわーホントに戻って来ちゃったよこのオバチャン…うーーん貼り方はともかく、紙はいいなー・・・ったくしょうがねえなあ素人にこれだけやられちゃったら、できませーんなんて言えなくなっちゃったじゃねえか…ため息)

・・・わかりました、何とかやってみますわ

この一言で出来上がったのが先ほどの画像に載っている扇の数々である。

その後もこの困ったオバチャンは足繁く店に通いつめており、越前和紙と扇子という2つの伝統技術のコラボは現在も進行中である。
そんなガチの職人同士の阿吽の呼吸により、ひょうたんから駒のごとく出てきたこの飾り扇。
この美しい水引、親父さんの店のツテで手に入れた、正真正銘の日本製である。もちろんこれもまた職人の技。(わし太夫「飾り扇」参照のこと)
まさに職人は職人を呼ぶ。それぞれの意地とプライドと、心意気と、経験に裏打ちされた確かな技が、本物を作り上げていく。ノーベル賞の山中教授も仰られていたとおり、偉業は一人の天才だけで成し遂げられるものではない。沢山の人の思いと、たゆまぬ努力が結集して素晴らしい結果を生む。

安くてお手軽・すぐ手に入る、
そういうものも確かに生活には必要だし、ありがたいけれど。

こういう細い、か弱い縁の糸が、時間をかけて次から次へと繋がっていくことで生まれてくるものにも心を向けたい。ものをつくるのも売るのも買うのも、結局は人と人との繋がりだから。それが本来の日本が、日本人が大切に守ってきた伝統なのではないかと思う。
ここ何年か、うつむいたまま底ばかり見ていた気がする日本という国が、背筋を伸ばしてすっくと立つ、それはもうそれほど遠くない未来だと信じて、新しい年にむけて頑張りましょう!

と、いうわけで、扇子の方はまだまだ改良の余地があるものの、「飾り扇」はそのままお正月用の飾りにも、またお祝いごとなどにも最適です♪ご用命・お問い合わせはコメント欄またはメールで。あまり数はありませんので、どうぞお早めに♪

コメント

_ (未記入) ― 2012/12/13 17:40

ゆいまーるの吉田です。是非ひとつ分けていただけませんか。お店のお正月飾りに、使いたいと思います。お店のパソコンから送っていますので、お電話いただければ幸いです。

_ おさか ― 2012/12/14 09:28

ゆいまーる吉田さま

ありがとうございます!
長田の方からご連絡させていただきますので、少々お待ちくださいませ♪

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